特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)に必要な費用は?

特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)は法律で下記のように義務付けられており、違反すると罰則の対象となります。
- 特定建築物は3年以内に1回(場所によっては2年に1回のこともあるので個別に要確認)
- 建築設備は毎年
12条点検は専門知識や技術を持った、有資格者しか行えません。
そのため、オーナー様やテナント担当者様がご自身で12条点検をおこなうのは困難なケースが多く、ビル・建物のメンテナンス業者に委託することになります。
そこで気になるのが、特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)に必要な費用です。
この記事では、12条点検で必要となる費用の目安をわかりやすく表にまとめているので、ぜひ参考にしてください。
また、12条点検をおこなうビル・建物のメンテナンス管理会社の選び方も詳しく解説します。
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)はなぜ必要?

ホテルやショッピングセンター、病院など不特定多数の人が利用する建築物では、建物の老朽化や建築設備の不備などにより、人命に関わるような重大な事故が発生する可能性があります。
そのため、建築基準法第12条(12条点検)では、建築物のオーナー・管理者に特定建築物や建築設備の定期調査・検査や結果の報告が義務づけられています。
定期調査・検査・報告(12条点検)の対象となる建築物や設備
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)となる建築物や設備は下記の通りです。
定期点検・報告の対象 | 定期点検・報告の項目 |
---|---|
特定建築物映画館、劇場、演芸場、観覧場(屋外観覧席のものを除く)、集会場、公会堂 ホテル、旅館、下宿、共同住宅又は寄宿舎 マーケット、百貨店、勝馬投票券発売所、物品販売業を営む店舗、地下街 児童福祉施設等、病院、診療所、高齢者、障害者等の就寝の用に供する共同住宅又は寄宿舎 カフェ、 バー、展示場、キャバレー、ナイトクラブ、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店 図書館、博物館、美術館、スキー場、ボウリング場、スケート場 事務所その他これに類するもの、複合用途建築物 学校、水泳場、スポーツの練習場、体育館など。 | 敷地・地盤、建築物の外部・外部、屋上・屋根、避難施設など |
建築設備 | 換気・排煙設備、非常用照明装置、給水・排水設備 |
建物の階や規模に応じた条件は各自治体ごとに異なるので、さらに詳しい条件はご自身の自治体でご確認ください。
定期調査・検査・報告(12条点検)の際の点検に必要となる資格
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)の際に行う点検は誰でも行えるわけではありません。
定期点検の対象により下表の資格のいずれかが必要です。
定期点検・報告の対象 | 定期点検・報告に必要な資格 |
---|---|
特定建築物 | ・一級・二級建築士 ・特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者 |
建築設備 | ・一級・二級建築士・建築設備検査員資格者証の交付を受けている者 |
定期点検は、後々のトラブルを避けるために、上表の有資格者が在籍している業者に依頼するようにしましょう。
3年以内に1 回・毎年など定期的な検査が法律で義務付けられています
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)の実施タイミングは下記の通りです。
12条点検の項目 | タイミング | 備考 |
---|---|---|
特定建築物の定期調査・検査・報告 | 3年以内に1 回(場所によっては2年に1回のこともあるので個別に要確認) | 最初の点検は、検査済証の交付(建物完成時)後、6年以内に実施。 |
建築設備の定期調査・検査・報告 | 毎年 | 最初の点検は、検査済証の交付(建物完成時)後、2年以内に実施。 |
定期調査・検査・報告(12条点検)を実施しないとどんな罰則やリスクがあるの?
定期報告の義務を怠ったり、虚偽の報告をおこなった場合は、建築基準法第101条に基づき建築物の所有者・管理者に対して100万円以下の罰金が科せられます。
虚偽の報告の一例として下記のようなケースが考えられます。
- 調査や検査をおこなっていないにもかかわらず、報告書を作成して報告した
- 建物や設備に劣化や破損があるにもかかわらず、その旨を記載せずに報告した
虚偽の報告などの故意か否かにかかわらず、定期検査・点検・報告をおこなった時点で法律に違反したとみなされます。
そのため、建築物の所有者・管理者は定期報告の対象や項目、実施のタイミングや細かな注意点を把握しておくことが肝心です。
抜け漏れなく手軽に定期報告をおこないたい場合は、定期調査・報告を委託する業者と、建築物のオーナー様や管理者様の間を取り持ち、適切な業者への見積もり依頼を代行する「ビル管・設備点検.com」にお任せください。
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)に必要な費用や相場

点検は法律で義務づけされているので、費用がどの程度になるのか事前に知って適切な業者をかしこく選びたいですよね。
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)に必要な費用はおもに下記のように4項目で構成されます。
- 有資格者による実際の調査にかかる費用(建築物の用途や延床面積、建築年数などによります)
- 調査員の交通費
- 定期調査・点検報告書の作成費用
- 行政への申請や手続き代行費用
業者がWeb上で公開している情報をもとに、おおまかな費用や相場感を下記でまとめましたので参考にしてください。
1. 有資格者による実際の調査にかかる費用(建築物の用途や延床面積、建築年数などによります)
延床面積 | 特定建築物定期調査・点検の費用(税込) | 建築設備定期調査・点検の費用(税込) |
---|---|---|
~500㎡ | 35,000~65,000円 | 25,000~45,000円 |
500~1,000㎡ | 45,000~75,000円 | 30,000~50,000円 |
1,000~2,000㎡ | 55,000~85,000円 | 35,000~55,000円 |
2,000~3,000㎡ | 65,000~95,000円 | 40,000~60,000円 |
3,000~4,000㎡ | 75,000~105,000円 | 45,000~65,000円 |
4,000~5,000㎡ | 85,000~115,000円 | 50,000~70,000円 |
5,000~6,000㎡ | 95,000~125,000円 | 55,000~75,000円 |
2.調査員の交通費
調査員の交通費の実費。
3.定期調査・点検報告書の作成費用
報告書の種類 | 作成費用(税込) |
---|---|
特定建築物定期報告書(3年以内に1回) | 35,000~50,000円 |
建築設備定期報告書(毎年) | 30,000~45,000円 |
4.行政への申請や手続き代行費用
報告書の種類 | 作成費用(税込) |
---|---|
特定建築物定期報告書(3年以内に1回) | 8,000~15,000円 |
建築設備定期報告書(毎年) | 8,000~15,000円 |
費用は業者により異なるので一概には言えません。
また、Webで公開されている費用はあくまでも目安なので、選定の際には合い見積もりを取って、内容を比べて確認し、リーズナブルで納得のいく業者を選びましょう。
建物のオーナー様やテナント主様は、ビルメンテナンス業界に詳しくないことが多いため、業者が調査の際に必ず必要になる国家資格の有資格者が在籍しているのか、見積もりの内容が妥当かなど、素人にはわかりにくこともあります。
建物のに必要な検査項目の洗い出しや適切な業者の選定を時間と手間をかけずに行いたい場合は、長年ビルコンサル業務を手掛けビルメンテナンス業界の事情に詳しい当社が適切な業者を選んで、見積もり請求を代行いたします。法定検査の見積もりの問合せは下記のリンクから。
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)を依頼する業者の選び方のポイント4つ

特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)を依頼する業者の選び方のポイント4つを詳しく解説します。
しかしながら、12条点検をおこなうビル・建物のメンテナンス業者についてあまり詳しくないオーナー様やテナント担当者様は、4つのポイントを実際に確認するのは困難に思われるかもしれません。
そのような場合は、定期調査・報告を委託する業者と、建築物のオーナー様やテナント担当者様の間を取り持ち、ビル・建物のメンテナンス業者に詳しく、適切な業者への見積もり依頼を代行する「ビル管・設備点検.com」にお任せください。
1. 見積もりを頼むときは必ず合い見積もりをとる
見積もりは1社だけではなく、必ず複数社から合い見積もりをとるようにします。
その際、各業者に合い見積もりをとっていることを伝えるようにしましょう。
合い見積もりをとっていることを伝えることで、他の業者を意識した適切な見積もりが得られます。
2. 定期調査・検査・報告(12条点検)の際の点検に必要となる有資格者が在籍していることを確認する
特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)の際の点検には下表の資格のいずれかが必要です。
定期点検・報告の対象 | 定期点検・報告に必要な資格 |
---|---|
特定建築物 | ・一級・二級建築士 ・特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者 |
建築設備 | ・一級・二級建築士・建築設備検査員資格者証の交付を受けている者 |
後々のトラブルのリスクを避けるために、上記の有資格者が在籍していることを必ず確認しましょう。
3. 異なる複数の点検を一括して1業者に委託した方がお得な場合が多い
必要な定期調査・検査・報告を一括して1業者に委託すると費用がお得になったり、契約後に単一の業者とのやり取りで済むので手間が減ります。
法律で義務付けられているビル管理に必要な法定点検・報告は、下記のように5つあります。
- 「建築基準法第12条」による特定建築物・設備の定期調査報告(通称:12条点検)
- 「ビル管法」による建築物に関する衛生環境の定期点検
- 「電気事業法」による自家用電気工作物の定期点検
- 「消防法第8条の2の2」による「防火対象物定期点検報告」
- 「消防法第17条の3の3」による「消防用設備等点検報告」
(参照:ビル管理に必要な4つの業務と法定点検・報告とは?信頼できるビル管理会社の選び方|ビル菅・設備点検.com)
義務づけられた定期調査・検査・報告にもれがあると罰則の対象となるので気を付けましょう。
また、一括して特定の業者に頼むので、失敗しないように信頼できる業者を選びたいものです。
信頼できる業者と契約できれば、同一業者に委託を継続することで、12条点検のたびに新たに業者を探して契約を繰り返す手間も省けます。
4. 12条点検の実績が豊富な業者を選ぶ
委託する調査・検査・報告対象と同じような建築物や設備の種類、規模での実績が多い業者を選びましょう。
まとめ
この記事では、特定建築物と建築設備の定期調査・検査・報告(12条点検)に必要な費用の目安を紹介しました。
この目安は業者がWeb上で公開している費用をもとに算出していますが、調査対象の建築物や設備などの状況により実際の見積もり額と異なることがあります。
また、ビル・建物のメンテナンス業者にあまり詳しくないオーナー様やテナント担当者様は、合い見積もりをとる複数の業者を適切に選ぶことが困難な場合もあります。
そのような場合、業者とオーナー様の架け橋となるマッチングサイト「ビル管・設備点検.com」にご相談ください。
「ビル管・設備点検.com」は実務経験が豊富なビルメンテナンスのコンサルティング会社が運営しています。
「ビル管・設備点検.com」は、申し込みの際にご記入いただくヒアリングシートの内容に応じて、ビル・建物の定期調査・報告に不慣れなオーナ様の代わりに、専門家の視点から適切な業者を選んで見積もりを代行します。
「ビル管・設備点検.com」は定期点検に必要な国家資格の有資格者が在籍している業者を選定するので、トラブルのリスクも避けられます。